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●ビタミンK欠乏による頭内出血
福岡市内で昨年2カ月の赤ちゃんがビタミンKの不足で脳内出血(頭蓋内出血)を起こしました。早期に大学病院の脳外科で緊急手術が行われ、大事には至りませんでした。これは非常に幸運な例で、多くの赤ちゃんは、死亡したり、重症の後遺症が残ったりします。
●ビタミンKが欠乏すると
ビタミンKは血液が固まるために必要なビタミンです。ビタミンKが不足すると血液が固まらず、出血しやすくなります。特に、生まれて3カ月までは頭の中(頭蓋内)での出血が多く、重症になりやすいのです。
生まれたばかりの赤ちゃんの腸には、ビタミンKを作る腸内細菌がいません。また、ビタミンKが不足している赤ちゃんは、母乳栄養の赤ちゃんがほとんどです。これは、ミルクに比べて母乳中のビタミンKが少ないためです。また、肝臓に異常がある赤ちゃんではビタミンKの吸収が悪くなるため、ビタミンKが不足しやすくなります。
1980年までは全国で100人以上の赤ちゃんがビタミンKの不足による脳内出血を起こしていました。このため、1983年からビタミンK2シロップの3回投与(生まれてすぐ、産科退院時、1カ月健診時)が始められ、1990年には年間25例程度まで減ってきましたが、まだゼロにはなっていません。
●海外の対応
海外では、日本よりビタミンKを多く投与する方法が採用されています。海外で採用されている方法は次の3つです。①生まれてすぐにビタミンKの筋肉内注射をする。②ビタミンKを生後3カ月まで毎日飲ませる。③ビタミンKを生後3カ月まで毎週飲ませる。そして、このような対応をしている国ではビタミンK欠乏性の頭蓋内出血は事実上ないことが分かっています。とりあえず日本で採用しやすい方法は③の方法です。
●K2シロップの毎週投与へ
ビタミンK欠乏性の頭蓋内出血がみられたことを受けて、福岡市の小児科医会と産婦人科医会で協議が行われ、生後3カ月までビタミンKシロップを毎週飲ませることを推奨することが決定されました。ただ強制ではないため、従来の3回投与を続けている施設もありますが、できるだけこの方式が広がることを願っています。
このように、ビタミンK2シロップを毎週飲ませる方式は、すでに山口県や北九州市でも行われています。日本小児科学会もビタミンK2シロップを毎週飲ませる方式を検討することになりました。
●全国に広げたい
産業医科大学の前小児科教授の白幡先生が中心となりビタミンKの毎週投与を提唱されましたが、なかなか意見がまとまりませんでした。今回は、何としても全国に広げ、頭蓋内出血で苦しむ赤ちゃんをゼロにしたいと思っています。